お知らせ

No.108 PPP/PFI特集

事務局便りNo.108
上記リンクより、PDFファイルがダウンロードできます。

一般社団法人 国土政策研究会
事務局だより No.108
《PPP/PFI特集》

2020.12.3

 あっという間に12月になりました。うっかりして、11月は事務局便りが欠便となってしまいました。すみません。本号ではPPP/PFIを特集したいと思います。よろしくお願いします。国土政策研究会はセミナー実施機関として、セミナータイプのPPP協定を国土交通省と結んでおります。

【千葉県勝浦市「循環型社会転換シンポジウム」】
 令和2年9月27日、千葉県勝浦市に於いて千葉県が主催する標記シンポジウムが開催され、国土政策研究会の伊庭良知理事が講演しました。その速記録の概要です。
 PPP/PFI手法を採用するのは、4つの目的があります。それらは、規制改革、行財政改革、公共資産活用、民間活力活用です。国土政策研究会の岩井国臣前会長などが中心となってH11年に、規制緩和法としてPFI法ができ、更に現会長の脇雅史さんなどの努力で発注方式の改革がなされました。それまでは、住宅、下水道、公園、廃棄物、エネルギーなど公共事業は公共がやってきましたが、民間が手伝えば、より効率的にかつ、質のいいものになるはずです。また公共資産は850兆円ほどあると言われますが、これらが、不動産・建物としての活用がされればもっと稼げるのに眠っています。例えば屋根。太陽パネル・太陽熱活用など、簡単な屋根貸しビジネスもできていません。また例えば図書館。利用者アンケートでは、24時間開けてほしい、飲食がしたいなどの声が多いのに、公共運営だと夜になると閉まってしまう。コーヒーショップやレストランが館内にあれば、図書館で家賃収入も稼げるのに、地方自治法では、行政財産内に民間収益施設の入居を認めない規制があって出来ませんでした。PPP事業では、ゴミ処理場ですらコーヒーショップやレストラン、余熱利用のホテルなども設置可能になりました。PFI法で行政財産の多目的利用ができるように規制緩和されているのです。京都市の御池中学校では、校舎1階にレストラン、パン屋、カフェ、2階以上に教室、つながった別棟に高齢者向けデイ・ケア施設、保育園、オフィスビルなどが入っています。投資額は大幅に増え、民間事業者の売り上げが増える一方、京都市の財政負担は30%も下がりました。
 単年度主義でやってきた公共発注については、PFIでやれば、長期契約が可能となるため、たとえば橋梁など基礎工から上部工まで、さらにその後の維持管理まで10年、20年分の仕事を一度に契約することができるようになりました。民間に仕事をまとめて発注し、支払いは10年、20年で平準化して支払うことで、1時的に投資負担が減ります。また民間は着工から完成まで、予算に応じた年度の発注を待たずに、どんどん進められるので完成は早くなり経費や労務の無駄が省け安くできます。
 更に、国はPPP/PFI推進策の一環として、PPP/PFIでやれば社会資本整備総合交付金を重点項目として優先配分し、満額交付する制度にしているにもかかわらず、制度に気付かず、従来通り発注してしまい、6,7割しか交付されていない自治体も多くあります。国交省は重点案件として、公営住宅、下水道、都市公園、クルーズ船ターミナルなどは特に推奨しています。質の高い公共工事を実現するには、金額入札は止めて提案審査型が良いとされ、東大の小澤先生、日大の木下先生などは、性能発注に応じたJVによる技術提案交渉方式を薦めておられます。事業者選定に於いて金額競争は含まないところまで来ているのです。H25年6月、国はPPP/PFI抜本改革方針を出し、公共施設を整備するときはPPP/PFIを優先的に検討することを義務付けました。また、弊社団が、提唱した、自治体が一銭も公共の出費を必要としない「0」系PPPも多数実績をあげています。
 PPP・PFIのキーワードは「包括」です。時間の包括、施設の包括、業務の包括、地域の包括などで、数年かかる事業を一本の契約で済ましたり、多種類の施設を一括して契約したり、異なる仕事を一本で契約したり、広域にまとめて発注したりすることが重要です。もう一つは性能発注です。公共は求める性能を民間に提示し、民間がノウハウ、経験を活かして細部や内容を提案することにより、行政と民間がそれぞれ得意とする役割分担をして、無駄な業務を省くことで行政改革を進めることを推奨します。例えば、東京都府中市では、令和3年、2,385路線の道路の補修などを5年分まとめて一括発注する予定です。聞くところによると、これの受注に向けて地元の200社くらいがいくつかのチーム編成をし、仕事も安定させることを目指して頑張っているそうです。高知県の須崎市、3万3千人くらいの小さな市でも、国交省の下水道、農水省の漁業集落整備、環境省のクリーンセンターをまとめて発注した例があります。多数の企業によりチーム編成をすることにより談合が難しくなります。一方、元受けしたい企業が不満を持つこともあります。以上です。時間が参りました。


左から柚山義人、伊庭良知、竹林征雄、勝浦市長 土屋 元、御宿町長 石田義廣


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