お知らせ

No.74 通常理事会/新春講演会/賀詞交歓会開催

一般社団法人 国土政策研究会
事務局だより No.74
「通常理事会/新春講演会/賀詞交歓会開催」

No.73でご案内した標記理事会、新年会のご報告をいたします。

【平成29年度第2回通常理事会開催】
 平成30年1月19日、東京紀尾井町の都市計画会館において平成29年度第2回通常理事会を開催しました。
29年度上半期の活動報告、財政報告、下期の活動計画、財政見通しを承認した後、
伊丹理事からトラック実運送研究部会が終了して、新たに地元でトラック運送取引適正化チームを立ち上げたとの報告がありました。
永年にわたり多くの個人会員を紹介していただきましたことに対し厚く御礼申し上げます。

【平成30年新春講演会開催】
 本年の新春講演会は内閣府参事官の寺元博昭さんをお招きして
「日本経済と地方創生」というテーマでご講演をいただきました。その要旨を紹介致します。

 始めに自己紹介があり、20年余り働いたなかで感じたこととして、
地方のことを縦割りでなく、総合的に考える組織が無いこと、
また、国内の地方創生についても言えることであるが、
海外協力においてはマンツーマンで10年くらい同一人物が一緒にやらないと成果が出ないことを指摘されました。

 日本経済については失業も少なく甚だ良好ではあるが、
お金を回すためには消費か投資しかなく、我が国は投資の面で問題があること。
特に家計資産を見ると、アメリカでは半分近くが投資に回り、20年間に3.3倍の資産増を見ているのに対し、
日本では15%程度しか投資に回らず、家計資産の増加も20年間で1.5倍にしかなっていない。
世界的にも従来の金融制度は低迷して、クラウドファンデイングのような新しい制度が台頭してきた。
クラウドファンデイングは投資家と起業家が気持ちの上でつながっているので、
あまりリスクを意識しないで投資ができるという特徴がある。
我が国ではまだ普及してなく、世界シェアーの1%にも満たない3.3億ドルでしかない。
ちなみに我が国の伝統的金融機関の預貸率は平均で50数%、地方では30%近くまで下がり、危機的状況を呈している。
とにかく投資を増やすことが日本経済の課題である。
海外からの投資も必ずしも東京ではなく、地方への投資希望がかなりあるので、地方はもっと外国からの投資を呼び込む努力をすべきであろう。

平成30年新春講演会開催

 地方創生についてみると、大阪と名古屋には移転税制なども活用してもっと集積を増やすべきではないかと思っているが、
知事会は多数決なのでそのような同意を得られない。
また、地方創生というまちづくりは地方だけの問題ではなく、国の問題でもあるという認識のもと、
地元の人達だけの便利を考えるのではなく、欧州の多くのまちのように、訪問者のためのまちづくりも考えてもらいたい。
それも何をやっているのかが分かるような「見える化」に配慮してもらいたい。

 これからの世の中の仕事は、「ロボットに代わる」、「ロボットを使う」、「ロボットを作る」に絞られてくるであろうし、
デイープラーニングによりロボットが益々賢くなることを考えなければならない。
この社会の変革に乗り遅れたら地方創生もあったものではない。

 地方創生は「まち・ひと・しごと」とされているが、
「ひと」が問題であって、人材育成のためのサテライトキャンパスなどはもっと充実・活用すべきであろう。
街も活性化するし、学生も勉強になると思う。
キャンパス本体は都心にあると学生が遊び過ぎてしまうので郊外のままで良い。

 以上、大変広範にわたる示唆に富んだお話であった。

【平成30年新春賀詞交歓会開催】
 平成30年1月19日、新春講演会に続いて
国土交通省森昌文技監、本会第5代会長の鈴木道雄氏、前会長の岩井國臣氏をお招きして会員約50名の参加のもと、
新春賀詞交歓会が盛大に開かれた。

 開会にあたり脇会長からの、「産業革命に匹敵する情報化という大変革時代を迎え、国政研としても議論すべきことが多々あるので会員皆様のご支援、ご協力をお願いする。」という挨拶に続いて
森技監から、「生産性革命、国土の強靭化、コンパクトシテイづくり、都市のスポンジ化対策、リニア新幹線によるメガリージョンづくりなど、国土構造そのものの在り方も議論しなければならない。そのための研究や活動を一層進めてもらいたい。」
とのご挨拶があった。

 続いて鈴木元会長は
「退位なさる天皇陛下と同じ年であって、来年は新しい元号となるから自分も三元号を生き抜いたことになる。
それにしても若者は今上天皇が何代かさえも知らない。また、北朝鮮問題も国家の安全保障の面でもっと議論しなければならない。」
と述べられた。

 岩井前会長は「メガリージョンとか大阪、名古屋の更なる充実などのお話でしたが、地方の実態はもっと深刻で、
台湾問題も含んでもっと議論すべきことが沢山ある。国政研は更に頑張ってほしい。」との挨拶の後、
同氏の音頭により元気な乾杯になった。

しばらく歓談の後、中締めは高田副会長で、
「ロボットにはできない、非論理的で人間的な思考過程が必要な分野もある。そのような仕事が国政研の仕事ではないか。」
との示唆をいただき散会した。

左から岩井、脇、森、鈴木の各氏

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