No.106 地方創生自治体アンケート中間報告 / 10月15日東京セミナー
事務局便りNo.106
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一般社団法人 国土政策研究会
事務局だより No.106
《地方創生自治体アンケート中間報告 / 10月15日東京セミナー》
2020.9.24
彼岸が過ぎてやっと涼しくなってまいりました。いかがお過ごしでしょうか。国の方では概算要求の締め切りが例年よりひと月遅れの9月末ですので、目下、多忙を極めておられることと拝察いたします。本号では途中ではありますが、先日来地方自治体の皆様にお世話になりました地方創生アンケートの速報を用意いたしました。詳しくは10月15日開催の東京セミナー、更に、関係機関への建議書でまとめたいと思います。
【地方創生アンケート中間報告】
令和2年6月、国土政策研究会の特別会員12市町村と機関誌「国土と政策」No.34~No.46の「地方からの報告」に寄稿していただいた34市区町村に対して、8問からなるアンケートを実施しました。それらは1.行財政一般、2.人口減少問題、3.公共・公益施設の維持管理問題、4.空地・空き家・所有者不明問題、5.公共交通問題、6.農林水産業対策、7.海外交流、8.その他、でした。以下はそれらの主な点を取りまとめたものです。
1.行財政一般
地方創生財源を確保するため、消費税地方譲与税および地方創生推進交付金の拡充、東京圏での課税強化、企業版ふるさと納税制度創設、法人税減税をしても法人税地方譲与税の額は減らさない、などのほか、リニア鉄道や5Gシステムの活用による東京圏からの諸機能移転を進めるべき。東京圏立地企業に対して第二本社を地方に創設することを義務付ける。また、特別地方交付税に関して、地元の事情により国の基準を超えて地域手当を払った場合、国からの支給額が減額されるのは理に合わない。全体として、地方の独自性、自主性を更に尊重すべきである。
2.人口減少問題
妊娠・出産・待機児童ゼロ・小学校放課後の学童クラブ設置、中学あるいは高校まで医療・教育費負担ゼロなどによる出生率の向上を期待するほか、企業誘致・観光振興・農業の6次産業化を含む地元の産業を育成・強化するほか、住居の斡旋、奨学金返済支援など、U/I/Jターンによる移住を促進する。また、人口減少に対応してスマートシュリンクを進める。
3.公共・公益施設の維持管理問題
公共施設等統合管理計画、公共施設再配置方針、地域別施設再編計画、アセットマネジメントなどに基づき、公共・公益施設の保有量の最適化のための廃止統合、長寿命化、隣接市町村との広域管理などを進めるほか、PPP/PFIなどによる民間との連携、指定管理者制度の活用などを進める。そのほか、「公共施設等適正管理推進事業債」を2021年度以降も延長する、土地利用規制・住居移転等への財政的支援なども必要である。また、道路・河川等の基幹インフラの管理は一元的に国の責任と負担にすることも検討すべき。
4.空地・空き家・所有者不明問題
空き家対策計画などに基づき所有者・相続者への各種啓発、空き家バンクの活用、危険空き家の除却、仏壇預かり処新設、などを進めるほか、私的財産に絡む法制度の改正と空き家対策を進めるための財源不足が問題である。また、休耕地および所有者不明土地の増加などに対処するため、法制度の改正と併せて空地バンクの必要性も議論すべき。
5.公共交通問題
民間を含む地域公共交通活性化協議会などにおいて地域公共交通網形成計画を策定して、それに基づきバスシステム改善、コミュニテイバス・相乗りデマンドタクシーの導入、自家用車有償運送などを進めるが、そのための財源が不足している。また、鉄道会社同様にバス会社にも多角経営の道を開くべき。更に、自家用自動車の利用に関しては税負担を強化して、Mobility as a Serviceなどの財源を確保すべきである。
6.農林水産業対策
農政については「担い手不足」と「儲かる農業にはなっていない」という農政の失敗に対処するため、特産品のブランド化・経営規模拡大・企業経営の普及・集約化などを進める。担い手については新規就農者・移住者を支援するほか、農業研修生の受け入れなどを進める。そのほか、高付加価値化、農家子女の婚姻支援、特区による農用地での農家レストラン経営などを進める。
水産についてはつくり育てる漁業を目指して漁場整備、養殖および養殖残渣処理の支援を行う。林業については近隣市町村と連携して豊かな森づくり、獣肉共同処理、間伐材による木質バイオマス発電・ペレット生産などを進める。また、食糧安保対策としても休耕地、休耕田の活用を公的支援の下に進めるべきであり、山林についても国内産木材の国内消費を増やすべく公的支援を充実させる必要がある。
7.海外交流
姉妹都市、友好都市との間で、貿易代表団受け入れ、スポーツ交流、音楽交流、共同セミナー開催、小中学生の交流、留学の支援などを行う。また、必要な外国人労働力を活用することができる環境整備を進める。
8.その他
1)Society 5づくりのための国の技術的・財政的支援、地域の自主努力に対する官民連携のプラットフォームづくりに対する制度的・財政的支援、コンパクト・アンド・ネットワークを本格的・全国的に進めるための国の抜本的支援が必要。
2)東京一極集中を抑制するため、東京圏の通勤手当の支給には特別の法人課税をしたり、東京圏だけ消費税を高くしたりするほか、東京圏に立地する有名大学の入学定員を、リアル学生と通信学生とに分けて、通信学生は全国どこからでも無制限に受け入れ、進学のために東京圏に出てくる必要は無いようにする。
【国政研2020東京セミナー】
令和2年10月15日(木)、標記セミナーを計画しました。午後1時半から東京紀尾井町の都市計画会館3階で開催されます。一部に19日(月)との案内が出てしまいましたが、これは間違いです。すみません。来賓並びに特別講師として国土交通省の新しい都市局長、榊真一氏を予定しております。午後2時からは森ビル株式会社特任執行役員の河野雄一郎氏による、森ビルが全国的に進めている地域づくりの発想原点みたいなお話を期待しております。続いて3時から国政研の建設産業研究部会長:埜本信一氏、地方創生部会長:司波寛氏、水力発電研究部会長:堤利之氏からの報告が予定されております。残念ながらその後の交流会は今回は中止となります。参加希望者は氏名、所属、役職、メルアド、住所を書いて
ファックス:03-6231-1385、 または
メール:info@kokuseiken.or.jpにお送りください。
(参加費 国政研会員3,000円、非会員4,000円 を予定)
国土政策研究会事務局
〒103-0001 東京都中央区日本橋小伝馬町17-17 日本橋シルバービル5階
電話:03-6231-1382 FAX:03-6231-1385
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